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「内部留保を雇用に使え」と言う人は「内部留保」を理解していない人です
「内部留保がすべて雇用に使えない」ということは、少し勉強した人なら分かるはずだからです。
黒岩氏は、勉強不足だということを露呈してしまいました。
黒岩氏だけだったらまだいいのですが、実は日本の政治家達や評論家達の間にも、「企業の内部留保を雇用に使うべきだ」という考えが蔓延しているから、困ってしまいます。
こちらは、今月9日の衆院予算委員会の一幕。
労働者の味方・日本共産党の笠井議員も、経営者の経験があるはずの麻生総理も、河村官房長官も「内部留保」が何か分かっていないようです。笠井(亮)氏は、一九九九年から二〇〇七年までに、派遣労働者が百七万人から三百八十四万人に激増している一方で、大企業が内部留保を六十兆円も増やしていることをパネル(グラフ)で提示。「内部留保は、派遣労働者らの血と汗と涙でため込んだものだ。そのわずか0・2%を回せば、(三月までに解雇される)八万五千人の正社員化も可能だ。内部留保を活用して雇用確保に努めるよう企業に働きかけるべきだ」と追及しました。
首相は「内部留保の扱いについては(活用するよう)重ねて言わないといけない」と述べ、企業側に要請する考えを表明しました。河村建夫官房長官も「積極的に経営者団体等を通じて要請を強くしていく」と明言しました。
(しんぶん赤旗:「非正規切り」は日本経済も脅かす/内部留保 雇用に使え/首相、大企業側へ要請表明/衆院予算委 笠井議員質問より引用。太字は当ブログ管理人・japanjapanjapanによる)
---------------「勉強不足」と聞いてドキッとした貴方はこちら---------------
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今騒がれている「内部留保」とは、「利益剰余金」のことを言っているのだと思います。
利益剰余金とは、野村證券:利益剰余金によると、「自己資本のうち、資本金を超える部分が剰余金であるが、毎年度の利益や損失、または積立金などが積み重なったものなど剰余金の発生源泉が利益とするもの」です。
簡単に言うと、企業が稼いだ資産のうち、元々持っていた分より増えた分です。
この「資産」というのが肝です。
資産は、現金・受取手形・売掛金・有価証券など様々な種類があります。従業員の賃金を支払うのに必要なのは現金です。
で、ここからが重要なのですが、利益剰余金の中身はあくまで資産であり、現金だけではありません。というか、そもそも利益剰余金の中身にどんな資産があるのか確定すること自体出来ません。
だから、利益剰余金が100億円あるからといって、現金及び現金同等物が100億あるとは限らないのです。100億より少ない場合もあれば、多い場合も考えられるのです。
例えば、派遣切りで問題となったソニーは、2008年9月30日現在連結ベースで、利益剰余金(内部留保)が2,085,045百万円あるのに対し、現金及び現金同等物は700,923百万円で、現金及び現金同等物の方が圧倒的に少ないです(ソニーグループ:業績発表文・決算短信参照)。
じゃあ現金以外の内部留保はどうなっているのかというと、売掛金や受取手形、棚卸資産、有価証券、土地・建物などに化けています。これは企業活動のサイクルを考えれば当然です。
つまり、ソニーは、現金が足りないため、賃金を払うことが出来ないのです。
売掛金や受取手形、棚卸資産を現金に変えろ、という人がいるかもしれませんが、今の不景気の時期、それが出来たらリストラなんてする必要ありません。
建物・土地を売って雇用を維持しろ、という意見は論外です。
japanjapanjapanは経営者寄りの人間なのか、と思う人がいるかもしれませんが、そもそも勉強してない人にそんなこと言われたくありません。
「内部留保」「内部留保」としきりに言っている人は、まず財務諸表を読むこと。
政治家・評論家の皆さん、こんなことわざわざ言いたくないけど、ちゃんと勉強してから発言なり議論なりしてくださいね!
〔参考サイト〕
OKWave:利益剰余金と現金同等物の質問
↑こちらの方が、私の説明よりはるかに分かりやすいはずです^^;
〔参考ニュース記事〕
livedoorニュース:御手洗会長 なぜ内部留保を使わない
↑「キヤノンの内部留保は9月末時点で約3兆円(!)にも上る。大分の職場を解雇される1200人の社員1人当たりの年収を300万円で計算しても、必要額は0.1%程度で総額36億円。850年間雇える。」と説明しているが、現金及び現金同等物は7373億1900万円なので(キヤノン株式会社:投資家向け情報 | 財務関連情報 | 決算短信参照)、雇えるのは850年間ではなく205年間です。
〔参考ブログ〕
JUNSKYblog2009:民主党も大企業の「余剰金」や「内部留保」に言及
〔当ブログの過去記事〕
「派遣労働者」について議論する前に・・・
コメント
↑のコメントは下品ですね〜
質問ですが・・・
内部留保は売上高から賃金の支払い等、ずーっと辿っていって当期利益まできたものをどう処分するかというところで発生するものですよね?
内部留保が多いということは、「当期利益をちょっと減らす代わりに、もうちょっと賃金をあげてもいいんじゃないか?」というところから黒岩氏や評論家はそのようなことを発言しているのではないでしょうか?
財務的に内部留保から賃金を支払うということはありえないと思うのですが、元を辿れば派遣労働者の問題のように賃金を切り下げた結果内部留保が増えたのだと思うのですが、全く間違った考え方でしょうか?
ご教授頂ければ幸いです。
遅ればせながらご教授させていただきます。
まずご理解いただきたいのは、利益が増加≠現金の増加ということです。
例えば、かっちゃんさんが問屋を経営している(A社)としましょう。A社は従業員が10人います。A社には、今、現金が100万円あります。A社は、ある会社に現金100万円を支払って、商品を100万円分仕入れました。そして、仕入れた商品を別の会社に300万円で売る契約をし、商品を引き渡しました。その会社からは、引渡しと同時に現金200万円を受け取り、残りの100万円は後日に受け取ることになりました(売掛金100万円)。その後、従業員10人に合計100万円の給料を支払いました。
さて、A社の当期純利益はいくらでしょうか。
売上300万円−仕入100万円−給料100万円=100万円です。
では、A社に残っている現金はいくらでしょうか。
元々のお金100万円+当期純利益100万円=200万円、というのは大間違い。
正解は100万円です。
あれっ? なんで、当期純利益が100万円あるのに、現金が増えてないんでしょうか。
それは、当期純利益の100万円は、売掛金100万円の増加だからです。
今、現金が100万円しかないのに、これ以上従業員を雇うわけにはいきませんよね。
なぜなら、仕入のための現金がなくなってしまい、会社の活動がストップしてしまうからです。
この説明が分かりづらければ、もう1度コメントを下さい。
「賃金を切り下げた結果内部留保が増えた」という考えは正しいと思います。
ただ、その内部留保を、競争力強化の為、工場や有価証券に投資しまくったため、手持ちの現金が残されていないのです。
しかも、この不況で不動産や株の価格が下がってしまったため、現金に戻すことも出来ず・・・orz
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