少し古い話題ですが、かつて一世を風靡した村上ファンド代表の村上世彰被告に有罪判決が下されたそうです。
ニッポン放送株を巡るインサイダー取引事件で、証券取引法違反に問われた村上ファンド前代表、村上世彰(よしあき)被告(47)に対し、東京地裁は19日、懲役2年、罰金300万円、追徴金11億4900万円余(求刑・懲役3年、罰金300万円、追徴金11億4900万円余)を言い渡した。高麗(こま)邦彦裁判長は「一般投資家ではなり得ない特別な地位を利用したプロによる犯罪で、買い付け額は類を見ないほど巨額。強い利欲性が認められ、非難に値する」と述べた。前代表側は即日控訴する方針。追徴金額はインサイダー取引事件では過去最高となった。
村上前代表が実質経営していた投資顧問会社「MACアセットマネジメント」には、求刑通り罰金3億円の判決が言い渡された。
(以下省略)
(Yahoo!ニュース:<インサイダー取引>村上被告に実刑 追徴金11億円より引用)
この出来事を、週刊!木村剛:[ゴーログ] 利益=悪:もうこの国にはいたくない?が取り上げていたので、読んでみました。
私は、木村氏のこの記事に対して違和感を覚えました。
木村氏の記事では、まず、六本木7丁目からの景色:利益至上主義は悪なのかの以下の内容を引用しています。
先日、村上被告に東京地裁で判決が下された。なんと実刑。これは、ボクの予想を大幅に上回る量刑だった
判決要旨の中で、ものすごく違和感のあった文章が、下記のものである。 「このような徹底した利益至上主義には慄然とせざるを得ない」 なぜこれが判決要旨に入っているのか。この裁判はインサイダー取引の裁判ではなかったか。・・・この文章が判決要旨の結論として出ていることは、それだけで、大きな違和感を感じる。東京地裁の判決によると、「利益至上主義」は犯罪なのである。
これに対する木村氏のコメントは以下の通りです。
私が思うに、司法は決して「利益至上主義は犯罪」だとか「利益は悪である」とか言っているわけではないと思います。このところ、司法の現場では、「利益は悪である」という価値観が必要以上に強く打ち出されているように感じますが、本当にその価値観は正しいものなのでしょうか。
今回の判決で問題にしているのは、利益を得るそのやり方なのです。
司法が、法を犯してまで利益を追求するような人間を保護するわけがないじゃありませんか。判決で「このような徹底した利益至上主義には慄然とせざるを得ない」と書かれたのは、インサイダー取引という犯罪を犯したからこそなのです。そこら辺を、記事を書かれたお二方は勘違いなされているのではないでしょうか。
司法は決して「利益=悪」と断じているわけではありません(なぜなら、そうであるならば、「会社が利潤を追求する存在であることを前提とする」会社法の存在を否定することになるから。)。
私が司法の言いたいことを代弁すると、「利益を追求するのはかまわないよ。でも、ちゃんとルールを守ってね。どの国にも守るべきルールはあるから。この日本にも。」ということでしょう。まあ、これは「このような徹底した利益至上主義には慄然とせざるを得ない」という文言からはかけ離れているかもしれませんが。
つづいて、木村氏のブログでは、兄やん公式ブログ2:メディアの宝刀の内容を引用し、コメントしています。
ちなみに、「兄やん公式ブログ2」さんは、「一連の判決は、日本人だけでなく、外国人投資家や世界経済に対する、一つのメッセージになってしまったことだろう。それも、マイナスなメッセージに」と語っています。
日本は数年前に『世界第2位の経済大国』となったことで、完全にふんぞり返り、新しいことを学ぶことも止めてしまった。・・・日本は懐古主義に走り、新しいことを学ばないでいることを正当化し、古いやり方で新しいやり方の何倍もかかる労力を若者に押し付け、若者を虐げ続けている。若者たちは、もう何年も前から苦しい状況下で戦い続けているが、その過酷な戦場の最前線で戦い続けている若者から遠い距離にいる年配の方たちは、こういった現状に非常に疎い。・・・メディアも政治もこんな状態であれば、確実に日本は崩壊の一途を辿るしかないだろう。歴史の上においても、織田信長が躍進していく中滅んでいった家柄も、現状の危機的状況を把握しようともせず、ふんぞり返ってやるべきことを怠った結果、滅ぶべく滅んでいった。・・・
これに対して、私が言いたいことは二つあります。
まず一つ目は、「一連の判決は、日本人だけでなく、外国人投資家や世界経済に対する、一つのメッセージになってしまったことだろう。それも、マイナスなメッセージに」というコメントは誤りだと思います。
今回の判決は、司法から外国人投資家や世界経済に対する、「日本でも法を犯すものは許されない」という毅然とした、いや、ある意味で当たり前のことを言ったメッセージです。決して「マイナスメッセージ」ではないと思います。
まあ確かに、日本を餌食にしようとしている外資系投資ファンド(いわゆるハゲタカファンド)には、「マイナスメッセージ」になったかもしれませんが(笑)
二つ目は、「一連の判決は、日本人だけでなく、外国人投資家や世界経済に対する、一つのメッセージになってしまったことだろう。それも、マイナスなメッセージに」という文章の後に、「日本は数年前に『世界第2位の経済大国』となったことで、完全にふんぞり返り、新しいことを学ぶことも止めてしまった。」という内容になっていますが、これら2つは別問題です。
「兄やん公式ブログ2」さんが、「若者たちは、もう何年も前から苦しい状況下で戦い続けている」というコメントで念頭に置いているのは、増え続ける「フリーター」「派遣社員」や「ワーキングプア」の問題でしょうか。確かにこれは重大な問題です。(先日の参院選開票日のNEWS ZEROの特番でも取り上げられていました。この問題については、機会があれば当ブログでも取り上げたいと思います。なにせ若者の私にとっては他人事ではありませんから^^;)
でも、このような現代日本の問題と今回の村上氏の犯した犯罪は別問題でしょう。インサイダー取引は犯罪。それは万国共通(たぶん^^;)。
今の日本には、市場原理主義の名の下に、儲けるためなら何をしてもかまわないという風潮が蔓延しているような気がします。
そして、それを肯定する経済学者・専門家・評論家が結構いることに「慄然」とせざるを得ません。
木村氏のブログでは、最後にこう締めくくっています。
私は、「ああ、もうこの国にはいたくない」(by「六本木7丁目からの景色」さん)という風に感じる人たちがこれ以上増えないことを心より祈っていますが、正直申し上げて、日本の未来に対して、かなり懐疑的になっています。10年後に「かつて栄えた国」として海外において語られるようになる可能性が7割以上になったと確信する今日この頃です。
ずるをした人が罰を受け、がんばった人が報われる、そんな社会がいいと私は思います(今の日本からは程遠いですが)。でも、木村氏は、ずるをした人間が最後まで笑う社会がいいとおっしゃりたいのでしょうか。
今回の判決を見て、まだまだ日本も捨てたものじゃない、と思ったのは私だけでしょうか。
10年後に「正義が守られる国」として海外において語られるようになる可能性が7割以上になったと確信する今日この頃です。





